無能なナナ
特別な家庭に生まれた。
裕福な生活。
優秀な血筋。
自らも、父から「人々のリーダー」になるための教育を受けてきた。
だが、自分にはその素質はなかった。
「無能」だった。
ある日、通知が来た。
「人類の敵」と戦うために、遠く離れた島に集められる能力者たちに加わるべく。
「トップを取ってこい」「リーダーになるんだ」
それが父からの言葉。
尊敬と恐怖の対象からの言葉。
その言葉を胸に。贈り物の時計を腕に。
「無能」なナナオは島へ渡る。
無能なナナ 1巻
突如として現れた「人類の敵」に対抗するために、とある孤島に集められた特別な能力を持った少年少女たち。
中島ナナオもまた、その能力を持ったエリートたちの中の1人。
しかし、ナナオは自分の能力を他人には語らず、「無能」だと言われ、からかわれていました。
そんな中、ある日転校生が入ってきます。
転校生は2人。
無愛想な少年、小野寺キョウヤと、明るく、ちょっと変な女の子の柊ナナ。
人の心が読める能力を持ったナナはナナオの綺麗な心に目をつけ、勝手にクラスのリーダーとしてナナオを推薦します。
それに反対するエリート能力者たち。
そこでキョウヤが横槍を入れてきます。
何でこんなことになってしまったのか…。
ナナオは、上流階級の家庭で「リーダーになるために」良質な教育を受けてきました。
でもナナオには、優秀な他の家族に比べ、特別な魅力も力もありませんでした。
家でも「無能」と呼ばれていたのです。
そんな中で能力者として島に招聘され、「リーダーになってこい」という父の言葉通りに1度は目指したものの、挫折して今は静かに毎日を過ごしていました。
ナナの推薦はナナオにとっては迷惑そのもの。
だけどナナは、それでも、ナナオこそがリーダーになるにふさわしい人だと言い続けます。
が、そんな言葉も届かず。
リーダーを決める日を迎えます。
炎使いの飯島モグオ、氷使いの郡セイヤ。
攻撃力の高い能力者のぶつかり合い。
勝ったのはセイヤ。ただしルールを破っての絡め手の勝利。
モグオはブチギれ、本気の炎を放ちます。
瞬間、ナナオの脳裏に浮かぶのは父の言葉。
「リーダーになるんだ」
期待に応えるべく島に来て、応えられずに塞ぎ込んでいた。
自分は「無能」であると。
でもそんなことは重要じゃない。
自分が「無能」だからといって、守りたいもののために立ち上がってはいけない決まりなど無かったのです。
ナナオの能力は「能力の無効化」。
たったそれだけの力。だからエリートたちには言えなかった。
だが実際に、多くのクラスメートをその身で守ったナナオを、ナナや他のみんなは大いに評価し、感謝の言葉を並べます。
リーダーは決まりました。
ナナオの能力は体が触れている能力の無効化。
試しにナナがナナオの手を握って心を読もうとすると…
自分の気持ちに気づかせてくれたナナ。
「これからもよろしく」
そう心に思い浮かべ、ナナに向かって言います。
「なにを考えているかあててみてよ」
To be continued …
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