麻雀Mリーグ 2020/2/11 1戦目 極限状態の選択(3)
メンツはこちら
南1局 1本場 親 黒沢
この手でトイツのを切る村上プロ。
これくらい悪い手で何を切るかはそんなに成績に関わってこないような気もしますが、ちょっと「んん?」となりませんかね?
悪い手だからこそにくっつけたいのは分かります。
でも切ったらペンを固定してしまう上には2度受け。
一応ピンフになりやすそうな選択ではあると思いますが、めっちゃ弱いペンチャンターツを生み出しただけの1打にも見えます。
他の打牌候補は…
・打・・・2度受けをこの時点で解消。テンパイ時のの出やすさも◯。
・打・・・を1ブロックに数えてしまって、6ブロック中1番弱いターツを払う。
・打・・・単純に。優秀なシャンポンフィニッシュがあるのでリーのみ上等の構え。
うーん。
個人的に守備力を確保したいので打はないです。
なんか普通にか切ってしまえば良いように思うのですが、どうでしょう。
さて、ここからはTwitterでも話題になっていた南3局の場面です。
南3局 0本場 親 小林
後のない黒沢プロ。
メンホンまで行きたい手ですが、そうでなくてもマンガン、運が良ければハネマンを狙えそうな手。
いったん切り。
この辺はプロっぽいバランスの良い1打です。
こちらもアガりたい小林プロ。
の2度受けなのでリャンメンとはいえチー。
…ですが、ちょっと急ぎ過ぎな気も?僕はしないかも…。
でもノーテンも許されない展開な上、他の形もメンツにもアタマにも自在に変わる応用の効く形なので、鳴く方が良いのかな。
その後この形に。
そしてセレブに分岐点。
リーチでマンガンが見えます。
巡目も中盤過ぎ。
もう夢を追っている余裕もあるかどうか…。
行った。
この後を引けばリーチ。ドラを引けば打。
そしてメンホン、メンチン。
絶対にこの局で少しでも上へ行こうというギリギリの1打です。
ここで村上プロがトップをブン取らんがためにリーチ。
黒沢プロにも小林プロにもエグいくらい厳しいリーチ。
ただ黒沢プロもここまできております。
この巡目はとりあえず現物の ですが…。
魚谷プロはこれを小考の末にスルー。
一発消しで鳴いた方が良いんじゃ?
現物のを消費してしまうとはいえ、他に現物は2枚、1枚、中スジありますし、最終手段の字牌切りもできます。
そんなにシビアな局面でしょうか?
黒沢プロに最悪の牌が。
長考。
このは、振り込んだら言い訳のできない超々超危険牌。
かと言って一旦 を切ろうにも生牌で危険。
どうすんのこれ…。
ノーチャンスの!
これは痺れる!
村上小林両プロに対してはどちらも危険。
どれだけ自分の手が高いとはいえ、1シャンテンで2枚とも切るなどありえない。
こうしておけばどっちかを切らなくても済む。
か周りを引いてテンパイすればどっちかは押す価値が生まれる。
一見中途半端に見えて凄まじい精密さ。
セレブセレブと言われてこういう部分が軽視されていますが、ただ高い手をアガるだけでここまで成績が安定するわけがないのです。
この抜群のバランス感覚こそ、真に見るべき黒沢プロの特徴かもしれません。
その後魚谷プロが現物の切り。これはあの男の鳴ける牌。
親権維持の為に鳴くか。
は村上プロに現物。
鳴いて…
あん!?
!?
最初見たときは意図不明だったのですが、Twitterでご自身が言っていました。
黒沢プロの河をもう1度見ます。
この河で手出しの。
黒沢プロからはが4枚見えていて安全な牌だったのですが、他家から見れば「普通にメンチン気配から出てきたマンズ」なのです。
メンチンテンパイに見えるわけです。
だから小林プロのはどれも切れない。
ならなぜチーした?
答えは簡単、黒沢プロのハイテイずらし。
できることをしようというパイレーツ魂だったわけです。
そしてその後です。
村上プロが爆弾を恐る恐るツモ切り。
黒沢プロもこれで切れます。
それに対して魚谷プロ。
なぜポン?
残りツモはあと一回。
このポンでハイテイを小林プロに回します。
これ、デメリットデカすぎませんか?
このせいで小林プロのハイテイツモ、村上プロのホウテイロンの可能性を生むことになります。
どちらも魚谷プロにとってはごめん被りたい事のはず。自分のトップ率を下げるのですから。
対してこれをスルーすれば確実に誰もアガることなくこの局が終わります。
それで良いのでは?
魚谷プロTwitterによると、小林プロに行くかオリるかの選択をさせたかったということらしいですが、それよりは自分のトップ率を下げないことの方が大事なのでは?
トップが大きいルールなんだし。
切り。
このとき僕は気づいていました。
これ、あの男…。
「チー」
やはり。
黒沢プロがを手出しで村上プロに合わせたことでノーテンが透けた。
マンズを切れるようになったのなら当然のチーテンです。
残念ながらそのせいで村上プロにハイテイをツモられることに。
当然のように外野はこれに言いたい放題。小林プロの鳴きはミスだ、だのなんだの。こういうことを言う人は(全員がそうだとは言いませんが)、例えば村上プロの最後のツモが小林プロのアタリ牌だったら、今度は小林プロを大絶賛するんでしょう。
Mリーグはトッププロが集まり、無数の思惑が交錯する場。
プレイヤーの意図を完全に捉えることはできません。
ならばそれを自覚し、よっぽどのことを軽々しく発言するのはやめるべきでしょう。
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