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夏ミカンの麻雀歴〜兄妹たちが生まれるまで④

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前回まで↓

夏ミカンの麻雀歴〜兄妹たちが生まれるまで①

夏ミカンの麻雀歴〜兄妹たちが生まれるまで②

夏ミカンの麻雀歴〜兄妹たちが生まれるまで③

 

ユウキ「留年というパワーワードよ」
サツキ「しかも理由が麻雀ですらないとは…」
マユナ「……」
カズキ「……」
ユウキ「氷河期か?」

 

 

ただひたすらに働いた

ユウキ「普段マイペースな夏ミカンもさすがにやらかしたと思ったらしい」
マユナ「思わなかったら私もうここに来なかったよ」
ユウキ「なんとそれから1年。全く牌に触らなかった」
サツキ「え!」
カズキ「なんだと…」
ユウキ「やらかした一年分の学費は全部自分で払うために、バイトを入れまくる決意をしたんだよ」
カズキ「ほう…」
マユナ「まあ、当然といえば当然とも言えるけど」
ユウキ「しかもちょうど店のオーナーが2店舗目を始めたから人手も足りなくなり、バイトリーダーで車も持ってた夏ミカンは手加減なしで働かされることになったんだ」
カズキ「うおぉ…」
サツキ「なんか本格的になってきた…。何が本格的か分からないけど…」
ユウキ「週6で、しかもほとんどが夜番。家に帰って寝るのは2時を過ぎてた。完全に昼夜逆転。たまに週一で大学の講義に出る時以外は家で死んだように寝てた」
マユナ「……」
カズキ「マジかい」
ユウキ「夏ミカン自身、なかなかにズタボロだったそうだな。ぶっちゃけそんだけ働いてたら、案外学費はすぐに賄えたんだけど、学校にほとんど行ってない立場を存分に利用され、シフトに入れられまくった」
サツキ「なんかすごい、アレだね。自業自得な感じもあるけど…」
カズキ「不幸だな」
ユウキ「本人も、もし俺が留年してなかったらこの店どうなってたんだって思ったそうな」
サツキ「何でそんな経営状況で店増やすの…」
ユウキ「その辺は企業秘密だから話せない。まあ、それがあったから金を稼ぐのは簡単ではあったがな。店が増えなかったらもしかしたら目標額には届かなかったかも」
マユナ「……ふぅん………」
ユウキ「まあ、それまでの人生で1番きつい1年ではあったが、その分いろいろと学べたのは確かだ。働くことの大変さ。経営の難しさ。あと、社会人の人と会話する時間が増えたり、中国人の方と長い間一緒に働いたり」
カズキ「……実にはなったんなら、まあ良しか」

 

大学への復帰と研究室配属

ユウキ「そんな厳しい一年を終え、大学に復帰。夏ミカンの大学では、最後の1年に研究室に配属され、1年かけて卒業研究にあたり、いわゆる卒論を書いて晴れて卒業となる」
サツキ「……留年したってことは…」
マユナ「あ」
カズキ「あ」
ユウキ「そう。もはや周りには同期はいない。去年まで後輩だった学生と研究室で1年過ごすことになる」
カズキ「おおう…」
サツキ「まあ、それに関しては完全に自業自得だけど」
ユウキ「幸いにも同室の子はみんないい奴ばかりで助かったそうだがな」
マユナ「ふーん。まあ、これに懲りて真面目に卒業研究に取り組むんだろうね」
ユウキ「最初の数ヶ月は週一か二くらいしか研究室に行かなかった」
マユナ「はあ!?」
カズキ「何で!?」
ユウキ「………。サボり」
サツキ「……」
カズキ「……」
マユナ「帰ろかな」
ユウキ「担当教授も優秀ですごいベテランな人だったんだけど、いかんせんヌルくてなぁ。夏ミカンもそうだが、誰にもちゃんと研究室に来なさいとか言わない方だった」
サツキ「だからってサボりますかね」
カズキ「それのせいで留年したんだろうよ」
マユナ「まあ、立場上行きにくいのもわかるけども…」
ユウキ「いつまでも行かないわけにも行かず、後期からはちゃんと通うようになり、なんとか無事に卒業を迎えるんだがな」
カズキ「何なんだこいつの人生。クソか?」
ユウキ「しかもその後は大学院に進学するからね、こいつ」
サツキ「にゃああああああああああああ!?」
マユナ「にゃ、にゃ、にゃ。にゃぜ!?」
カズキ「びっくりし過ぎて猫に…」
マユナ「だってこのサボリ魔が進学を選ぶ意味がわからないんだけど!」
ユウキ「働きたくなかった…んだと」
マユナ「帰る」
ユウキ「ま、待って!擁護するわけじゃないが、夏ミカンは地獄の1年を経験してる。一般的な『働きたくない』に比べたらそこそこ深刻なんだよ!」
マユナ「だからってサボりまくって人生転げたやつが、あろうことか大学院って!?ギャグ!?ふざけてんの!?ふざけてんでしょ!?ふざけてんなら殺すぞ!!」
ユウキ「落ち着け!一応ちゃんとした理由もあるんだよ。社会に出るにはあまりにも経験不足だと思ったり、大学院に行くメリットも、麻雀打ち らしく計算したりして」
マユナ「麻雀もしてねぇんだろうがよおおおおおおぉぉぉ!!!」
カズキ「ヤバいヤバイ!マユナがヤバい!」
サツキ「怒ったマユちゃんもそそるけどなぁ」
カズキ「止めろバカ姉!言ってる場合か!」
サツキ「マユちゃんストップ!」ガシッ
マユナ「ドサクサに紛れて抱きついてんじゃねぇぞコラァ!!!」ドゴォッ
サツキ「ぐ、はぁ♡」
カズキ「(゚Д゚;)(もはやナニコレ)


ユウキ「麻雀。それだ」
カズキ「え」
マユナ「はあ!?」
ユウキ「なぜ一旦はやらなくなった麻雀が、今の夏ミカンの中で再燃しているのか。その起爆となる出来事が、これから起こる」
マユナ「やっぱりロクに研究もしてねぇんじゃねぇかああああああああああああ!!!!」
カズキ「きょ、今日はこれまで!」
サツキ「♡♡」

 

 

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