夏ミカンの麻雀歴〜兄妹たちが生まれるまで⑤
前回まで↓
マユナ「熱くなってすみませんでした」
ユウキ「うん。大丈夫だ」
カズキ「頼むからコレっきりにしてくれ」
サツキ「シオらしいマユちゃんもまた…」
カズキ「ユウキさん。バカ姉が余計なこと言う前に早く始めましょう」
ユウキ「お、おう」
就活
ユウキ「大学院に進学した夏ミカン。大学は修士の2年間行くことになる。最初の一年の前期は、授業が大量で内容も難しく、単位を取るためには結構頑張って勉強しなければならなかった」
マユナ「ざまあみろ」
カズキ「マユナ。ちょっと出てるぞ黒いのが」
ユウキ「後期に入ったら多少落ち着いたが、研究もそれなりにやってたからな。まあまあ真面目にやってた」
カズキ「麻雀は?」
ユウキ「普通にたまにやってたらしい。リアルは少なかったが、天鳳以外のネトマも。どちらかといえばエンジョイ勢みたいな感じで」
サツキ「面白くなくなってきましたねー」
ユウキ「ただな。麻雀の勉強はずっとしてたんだよ。好きなプロが出す戦術書とか、データ本とかも買ってよく読んでた。フリーも段位戦も打たないのに」
カズキ「何だそれは」
マユナ「好きであることには変わりなかったわけね」
ユウキ「そんで、大学院生活も2年目になる。そしてすぐに来るんだよ。アレが」
サツキ「アレ、とは?」
ユウキ「就職活動、だ」
マユナ「おー」
ユウキ「まあ、春先には内定とって、すぐに終わったんだけどな」
サツキ「え!」
カズキ「何だそれは!」
ユウキ「なんか普通に初任給の良いところが見つかって、受けてみたらすぐ内定もらえた。いや、ホントにそこそこ良い額のわりには来るもの拒まずで内定を出すような企業だったんだよ」
マユナ「就活でまで楽するなんて…」
ユウキ「いやいや!第一希望なのはホントなんだって。で、採用試験も他の企業よりかなり早い段階でやってたから、内定をもらった後も周りの学生はまだまだ就活真っ只中だった」
サツキ「えぇ…」
ユウキ「みんな大変だなーと横目に見ながらも、やっぱり心に余裕が生まれるわけよ。就活やっと終わったってな」
マユナ「大した期間でもなかったくせに」
ユウキ「そんな心の余裕が、火をつけてしまった」
サツキ「あ」
カズキ「マジか」
ユウキ「少しずつ麻雀に、熱が出始めた。フリーに行ったり、天鳳名人戦とか見入ったり、戦術書読み漁ったり」
マユナ「……」
サツキ「なんか、もう、いやだな、なんか」
きっかけ「西園寺本」
ユウキ「そしてな、その頃に研究で、教授からある課題が出された。その研究で立案しようとしていた物理式から包絡線を書くっていうものなんだが」
マユナ「専門ワードやめて」
カズキ「なにちょっとデキル雰囲気出してんだ」
ユウキ「とにかくそれをするためには難しい計算が必要でな、ちょっと数学の勉強やり直す良い機会かなと思って、学校の図書館から本を一冊借りたんだよ」
サツキ「地味に律儀だなぁ」
マユナ「まあ、もはや全てに腹立つけど」
ユウキ「その本の内容がな、何人かのキャラクターが会話形式で難しい数学式の解き方や扱い方を説明するっていうものだった」
マユナ「な、なんでそんな本をわざわざチョイスしたの…」
ユウキ「結構ガチめの内容だったそうだぞ。イラストも無い、なんというか数学マニアが書いたような。もう題名も何もかも覚えてないらしいけど」
カズキ「なんだよ」
サツキ「………キャラクターが会話形式で説明する………」
マユナ「あ」
ユウキ「さすがサツキ。気づいたか」
カズキ「まさか…」
ユウキ「そう。それがきっかけだった。俺たちが生まれる、な」
ユウキ「その本を読んでまず思い出したのが、↓のブログと本だ」
サツキ「あー」
マユナ「…?これは?」
ユウキ「読んで字の如く。ブラコン女性が麻雀戦術や牌譜検討をやってるブログと、その方が書かれた本だ」
サツキ「この本にはブラコンの著者『西園寺靖子』さんとそのお兄さんとの会話形式で麻雀戦術が説明されてるんだよ」
カズキ「はあ」
ユウキ「以前はブログの方でも2人の会話形式で牌譜検討とかされてたんだけど、今はお兄さんは出なくなったんだよなぁ」
マユナ「この人は、麻雀強いんだ?」
サツキ「少なくともこの本を読めば素人に毛が生えた程度の夏ミカンが六段にまで上がれるくらいのスキルは得られる。難しいことはなるべく書かれておらず、要点をわかりやすくまとめてくれてる」
ユウキ「脱初心者には最適だ。文字通り『最短』で強くなれる本だと思う」
マユナ「ふーん。読んでみようかな」
ユウキ「うーん」
マユナ「え」
カズキ「いやいや。取りあげといてオススメしないんすか」
ユウキ「いや、ほら。この本って5年前の本だからさ。書いてある内容は現環境に通じる部分がほとんどとはいえ、さすがに完全にマッチしてるかって言われたらな。個人的な意見で申し訳ないけど、なるべく最新の本で勉強すべきだと思うんだよ。夏ミカンは」
マユナ「なるほど」
サツキ「それでも今、天鳳上級卓から抜け出せなくて悩んでる人にとっては十分すぎる良書だとは思うけどね」
ユウキ「ここで一旦切るぞ」
マユナ「次はいよいよ私たちの誕生かな?」
カズキ「えー…。おいおい。もうこのシリーズ5回目だぞ…」
サツキ「いい加減締めましょう」
ユウキ「ちなみに夏ミカンは、西園寺ブログの黒歴史小説全てを読破してます」
サツキ「やめたげてよぉ!」