オレンジライフ【雀魂・Mリーグ】

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STORY 5-⑦ by ?????

natsumikan-toaru.hatenablog.com

 

「なるほど。やっぱり九条さんのお兄さんを懐柔しましたか」

 少年は、関東屈指の暴力団、山王会の一員。

 それも高校生の身で次の代表候補という地位にある。

「報告ありがとうございます。では」

 携帯をポケットにしまう。

 彼は出かけ先から自宅へ帰る途中だった。

 自宅と言っても山王会の本屋敷ではない。

 高校生活に支障をきたさないように、少年は屋敷とは遠く離れた場所のマンションに住んでいる。

「話に聞いていた九条さんのお兄さん。さすがアヤカさん。見る目がある。それにしても、ちょっと『組織』の闇を教えてあげただけで、よくもあそこまで深く調べ上げたものだなぁ」

 もう3メートルほどで自宅だ。エレベーターを上がって部屋のドアを開ければ、雇っている家政婦さんと、ともに住んで警備にあたってくれている組員が出迎えてくれる。

「ところで、その植木の陰に隠れているお人。出てきたらどうすか?」

「………!山王の海徒!お命頂戴!」

 植木から現れたのは拳銃を持った若い男。山王会の首を狙いに来た他組の構成員だ。

 すでに拳銃は構えられ、引き金を引けば弾が出る。

 その、一瞬前で、少年は言葉を放つ。

「  気 絶デ済  まseて  アゲ ようk a? 」

「………………………………………」

 その少年の言葉を聞いた途端。男は泡を吹いて気絶。その場に倒れた。

「あーあ。泡まで吹くとは。本格的なただのチンピラかよ。もしかして独断か?めんどいな。これもしかして引っ越しとかしなきゃダメか?ったく」

 少年は再び携帯を取り出して誰かに連絡して数分後、マンションの玄関ホールからスーツを着た男性が出てきた。

「若、どうされました?」

「敬語やめてって言ってるじゃないですか。『若』も。まあそれよりその男。俺を撃ちに来たみたいですよ」

「気絶してますね。若が?」

「はい」

「またあの『声』ですか?」

「まあ」

「申し訳ありませんでした若。もっとご自宅周辺に気を配っていれば、若にお手を煩わせることもなかったのに」

「いや。なるべく普通の住宅街に住みたいって言ったのは俺ですし。だからあんまり外をうろうろするなって言ったのも俺です。気にしないでください」

「ですが若にもしものことがあれば………」

「大丈夫。仮に俺が死ぬようなことがあっても、あなたにケジメを付けさせるようなことはありません。そう親に言ってあります。それに……」

「はい。若」

「俺がそう簡単に死ぬと おモ っteまス か? 」

「…………………!!!!!いえ!まったく!!!!!」

「はい。だから大丈夫です。なんでとりあえずその男の始末はお願いしますよ」

「分かりました。すぐに」

「はい」

 スーツの男性は手早くチンピラを移動させ、何事もなかったかのように静寂が戻る。

「………」

 若と呼ばれた少年。苗字は大西。

「ワクワクしますよアヤカさん。あなたと、ユウキさんが、『組織』にどれだけの働きをしてくれるのか」

 自宅の表札には名字が彫られている。

「『組織』なんてどうでも良い。国の力も興味はない。だけどそこにいる『才能』は違う。『才能』はいくらあっても良い」

 そこにはこう書かれてあった。

「カズキや九条さん、そして俺のような『才能』が『組織』にはたくさんいる。『組織』が消えれば、その『才能』達を得るのは我が山王会。さあアヤカさん。ユウキさん。我らのために働け。血を吐け。そして達成せよ。我が山王会に我が夢を叶えさせるための礎を築け!!!」

 大西カイト。

 東山高校バスケ部で、カズキやマユナとともに汗を流す者の名。

 

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