オレンジライフ【雀魂・Mリーグ】

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STORY 5-⑤ by Yuki

natsumikan-toaru.hatenablog.com

 

 

「私は、『組織』を潰す。そのために、あなたの力を借ります」

「おいおい。俺の力ってなんだよ。俺はただのイチ学生だぞ。そんなでかい規模の組織を潰すのに使える力なんて持ってない。っつーかだいたい、そんな犯罪組織なんか警察にでもチクっちまえば良いんじゃないのか」

「こんな犯罪組織が堂々と残っている時点で察しがつくでしょう。『組織』はNPOと銘打ってはいますが、実際のところは行政の、主に防衛省や文科省のお抱え組織です」

「国が認めてるってことかよ…。防衛省ってことはなにか?対外戦力として『才能』を育てようってことかよ」

「そんなところです。さすがに国を相手取るわけにはいきませんよ。警察にチクれば牢に入れられるのはこちらの方でしょうね」

 スケール感がおかしくなりそうだ。何度も言うが俺は一般人だぞ。

「じゃあ、どうするつもりだ」

「1chanceのマスターさんは、元は世界を股に掛ける仕事をしていたそうですね」

「それが?」

「マスターさんの組織は何か知ってますか?」

「………、ああ。名前こそ伏せられたけどな。武器商だ。『元』な」

 マスターのことも筒抜けか…。

「そうですか。まあご本人が伏せている以上私も言いませんが、その通り。あの方はこの国最大手の重工の元メンバー。いや、国から直々に輸出先を指示されて売り込む、もはやエージェントとさえ言える存在でした」

「あの人は『夢だった喫茶店を開くために仕事を辞めた』と言ってたけど、たぶん違う。喫茶店は夢だったかもしれないが、仕事を辞めたのはあの人が自分で選ぶ営業先がぶっ飛びすぎるせいで会社の手に負えなくなってクビになったんだろ。エリア51に単身で侵入して代表者に謁見したことがあるって、冗談交じりに言ってたこともある」

「…………い、いや、さすがにそれは冗談でしょう」

「そのマスターがどうした?」

「『組織』は巨大ですが、あくまで日本の組織です。『日本には非人道的な犯罪組織があり、行政がそれを支援している』という圧力を世界中からかければ、『上』が証拠隠滅のために『組織』を潰す。これが私の戦略です」

「その世界からの圧力を、マスターを通じて操作してほしいってことか?」

「私が調べただけでも、あの方は世界中の要所で関係を築いている。その要所に、『組織』のことをリークしてもらえればそれでいい。マスターさんに気に入られているあなたが頼めば…」

 戦略という割には最初から最後まで他力本願のような気がするが…。

「どうかな。あの人は今はただの小さな喫茶店のマスターだ。世界を飛び回っていたころのスーパーエリートはもうどこにもいない。それに、そんな国を敵に回すような真似をしてくれる保証もない」

「なるほど。それで?」

「それでって?」

「やってくれるのか、くれないのか」

「決まってる。土下座してでもリークしてもらう」

「ふっ。そう言ってくれると思いました。あなたにとっても、神崎姉弟は失いたくない存在」

「知った風な口をきくなよ。俺は俺の救いたいものを救う。お前の言いなりになるわけじゃない」

「わかってますよ」

「チッ」

 どうやらこいつの筋書き通りに動いているようだな、俺は。

「交渉は了解を得た、ということで良いですね」

「まあ。ただ、本当にうまくいくのかこの作戦」

「それについては機を見る必要があるかと。個人的にはもう少し『組織』の犯罪の証拠を押さえてから実行したいところです」

「時間稼ぎは大丈夫なのか」

「『別の案件も担当しながらやっているから遅くなる』とでも言えばどうにでもなるかと。私も私で室長には気に入られていますから」

「そうかよ。じゃあひとまずは俺は待機ってことで良いのか?」

「はい。その時が来たらお知らせします」

「分かったよ」

「では今日のところは。そろそろサツキたちと合流しないと心配するでしょうし。ここのお金は払いますよ」

「いや。一応俺のが先輩なんだ。俺が出す」

「ふふっ。でしたらお言葉に甘えますよ」

 俺と『アヤカ』は店を出て、『アヤカ』はサツキやイオリ君がいる俺の家に向かっていった。

 俺は今バイト中ってことになっててまだ帰ると言ってある時間じゃないので、その辺で時間つぶしをしながら、この件について考え事をすることにした………。

 

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