オレンジライフ【雀魂・Mリーグ】

雀魂やMリーグ、麻雀についてを書いております!

STORY 3-④ by Iori & Kazuki & ???????

natsumikan-toaru.hatenablog.com

 

 

 で、いくら完璧に打てたとしてもそれが実らないのが麻雀というクソゲーなわけで。

「またお兄のトップぅー……」

 サツキも、弟クンもマユナちゃんも善戦した。

 アガる時にアガって、オリる時にオリて、鳴く時に鳴いて、回る時に回って。

 それでも壁は厚い。

 たかが数ヵ月の雀歴ではこの壁は壊せんだろうな。

 でも……。

「いや、今回はいい勝負だったよ。前に比べれば」

「え?」

 ユウキさんも、気づいてるらしい。

「全然負けてたよ、ちょっと風向きが変わってたら、マユもサツキさんもカズキ君も、全然勝ってたよ」

「うえぇ…。アタシ結構でかいラスなんですけどー…」

 確かにサツキだけ、かわし手の2000点をあがった他はノーホーラ。振り込みは1回で、後はツモられツモられで点を削られていった。

「手が入らない以上仕方ない。麻雀なんて、ちょっと誰かに一瞬でも運が傾くだけで結果なんて180度だって変わる。半荘1回の点数なんか実力とは全く関係しない」

「……そーかもですけどぉ」

 サツキはあくまで勝つことに拘っていたからな。

 そんなこと言われても負けは負けって思ってるんだろう。

「あくまで、俺の見た感じでは、だけど。

 3人とも、間違いなく前よりも成長してる」

「……………」

「………成長…」

「……………………………………………」

(…………………これは……)

 人間っていうのは、

 かっこいいね、かわいいね、やさしいね、強いね、成長したね、

 といった単純で強いフレーズから、モロに影響を受ける。

 もしかしたら、

 強さを追い求めて、我慢して、そして戦いきって。

 そんなサツキに、1番必要な言葉だったのかもしれないな。

 

 

「イオリさん、打たなくてよかったんすか?」

「4人の麻雀見てた方がおもろかったしね」

 帰り道、すっかり日が落ちて真っ暗な中、俺とねーちゃんとイオリさんは一緒に歩いていた。

 あの後、もう3半荘打った。

 結果は、計4回で全員が1回ずつトップを取った。

 まあ、唯一ユウキさんだけがラスを1度も引かなかったところを見ると、やっぱり壁は厚いんだなぁとも思ったけど。

「やっぱ本物の牌でやるの良いな。ねーちゃん」

「……………あーうん」

「なんか、終わってからずっとこんなんだなぁ、サツキ」

「………」

 今まで、誰の手も借りずに自分だけの力で生きてきたねーちゃん。

 強烈なリーダーシップもあったこともあって、親以外から『成長した』なんて言葉をかけられたことなんてないんだろうな。

「……………。ハァ」

 これはマジだな。

 初めての超えるべき壁。

 初めての自分をほめてくれた存在。

 そして、

(初めての片思い、ね)

 

 

 

natsumikan-toaru.hatenablog.com

 

 

 

 

で、ミナコ、どうだったんだ?この娘。

あん?違う?何がだ。

まあなんでも良い。報告してくれ。

…そうか。やはりそうか。

自分が凡人だと思って生きている人間ってのは絶対に凡人ではない。

そんなわけがない。

自分を客観的に見れる時点で有象無象のその他大勢とは一線を画している。

うん。そうだな。

『凡人は努力するしかない』

この発想に異論はない。

ただし、

自分の目標のために努力し、それを叶える。

それを小学生の頃からずっと続けてきた人間に、

凡人なんかがいるはずがない。

その非凡なことができている時点で、

彼女は紛れもない『才能』の血を引いている。

それは父方の方もそうだが、母方の方だってそうだろう。

『夢を叶える』などと、凡人がいくら頑張ってもたどり着けん境地だ。

母方の方も、十分優秀な因子を持っている。

うん、そうだミナコ。

お前の言ってた通りだったな。

あ?違う?だから何がだ?

そういえばそっちからも何かあるんだろう?

……………

ほう。

『才能』の周りに集まる『才能』…。

まだ『特定』は早いということか。

弟…。その九条兄妹ってのも面白そうだ。

もうしばらくはお前に任せるとするよ、ミナコ。

ああん?何なんださっきから違う違うって。

…………あ、そうだったそうだった。

変わったんだな。最近。

すっかり忘れて前の名前で呼んでた。

…………

まあ、

そんなところで頼んだぞ。

引き続きお前に任せる。

アヤカ。