STORY 5-⑥ by Ayaka & Yuki
前
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『アヤカ』と名乗る女性は、九条家に向かう道すがら、笑みを浮かべていた。
(これで、ひとまず第1段階はOK)
『アヤカ』の真の目的は、外国からの外的要因で『組織』を潰すことの他にもあった。
(九条ユウキ。思った通りの秀才。あんなチャットで私を特定した。あれなら能力は信頼できる。そして、その『才能』も)
目的はサツキとカズキの日常を今のままにすること。だが。
(ユウキさん。あなたの日常なんて私には関係ない)
本当の狙いは『組織』ではない。
(国が『組織』を潰したところで、『あの男』は止まらない。『あの男』が止まらない以上、サツキの身の安全はいつまでたっても保証されない。『あの男』を潰さなければ)
そのためには。
(外的要因の他に、内的要因が必要。内部から『組織』を崩壊させ、内部の人間が『あの男』を潰す図式を作る)
それには『アヤカ』一人の力では足りない。だから。
(九条ユウキを私の右腕にする…)
そのために彼を試した。そのために、彼に正体を明かした。
(彼の『才能』、『万象理解(セオリークリアー)』は凄まじい。今のところはまだ荒いが、成長すればブレインとして破格の性能を手に入れられるはず)
国が『組織』を消せば、『あの男』が再び動くまではさらに長い時間を稼げる。その隙にユウキの『才能』を鍛え、2人で『あの男』を再起不能にする策を張り、実行する。
(すみませんねユウキさん)
すべては親友を守るため。
(あなたなら、大きな業を背負っても、サツキの前では笑っていてくれるはず)
すべては自分の願いをかなえるため。
(たとえあなたの日常が音を立てて壊れてもどうでも良い。サツキを守り、『あの男』を潰せればね)
『アヤカ』は歩く。
親友のもとへ。そして。
親友が笑い続ける未来への道を。
別のところで、九条ユウキは不敵な笑みを見せていた。
(カズキに聞いといてよかったな。『目』のこと…)
ユウキは、『アヤカ』との会話中にカズキに聞いた話を思い出していた。
(俺はカズキほど『目』を見たからって何かが分かるわけじゃないけど、いつも表裏の無いサツキの目と比べれば『アヤカ』の目は曇っていた)
証拠などない。あくまでカン。
(あいつは、まだ何か隠してる。もしくは嘘をついているか)
前提として、九条ユウキは優秀な人間である。優秀な親が産み、優秀な妹と育ち、マスターやエリアといった天才と触れ合うことでその感性は磨かれ続けていった。
(俺をはめようとはな)
兄に甘やかされて育ったマユナは、その優秀さゆえに周りを見下し続けていた。カズキとの出会いでかなり解消されたが、根本的には消えたわけではない。
それに対してユウキは、他を見下した時期は短い。子供のころから大量に読んだ本のせいで、『人間なんてこんなもん』というふうに、一種のあきらめのような感情を持つようになったからだ。だから他の人間を劣等者とは見ず、誰にでも施しを与える人間になった。
(まあ。いいだろう)
不敵な笑みは消えない。
(俺を利用したいならすればいい。ただ、覚悟しとけよ『アヤカ』。俺もお前を利用する)
自分が利用されていると知って、なお黙って従うという返事をした。
(俺もそうなんだぞ、『アヤカ』。サツキやカズキ、そしてマユの安全さえ確保できればお前なんてどうでも良い。言ったろ。俺は俺が救いたいものを救うだけ)
『アヤカ』は1つ思い違いをしていた。
ユウキの『才能』は『万象理解(セオリークリアー)』。大量の本から大量の物語や知識を得た結果、初めて見る現象であっても想像力で解明してしまう力。
いわば、普通の人間が『百聞は一見に如かず』ならば、少なくともユウキは『五十聞けば一見分ぐらいは分かる』という感じ。
それもユウキの強烈な才能の1つだ。
ただし。
九条ユウキの根本はそれではない。
大量の本から得たのは知識だけではない。
(あいつの計画を理解したうえで利用する。そのためには何が必要か…)
自分が、物語の主人公のように中心にいるという感覚。自分の周りで何かが起こった時、それを正面から見据える力。そして、それを自らの力で変え、支配していく力。
『主格視点(メインキャラクター)』。
おそらくは。
成長すれば何物にも越えられない存在になりえる。
そしておそらくは。
だれよりも『天の意志』に近い存在にもなりえる。
そんな『才能』。
そして、別のところでまた一人。
次
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遂に訪れた地獄モード
ユウキ「えー。非常にまずい状況となっております」
サツキ「いきなり挨拶もなくですか」
カズキ「いつも挨拶なんかしてないけどな」
マユナ「最近成績よかったじゃん。そんなにまずいの?」
ユウキ「よかったんだよホントに。マジで。あと1トップで『雀豪☆3』になれるってところまで来たんだ」
マユナ「へえ」
ユウキ「そして現在の成績がこちら」
カズキ「………………………………………」
サツキ「…………………………、?」
マユナ「え。さっきあと1トップで昇段とか言ってなかった?」
ユウキ「言ってた言ってた。3100ptくらいまで上げたんだよ」
マユナ「いやいや。この画像では1864ptってなってるけど?」
ユウキ「なってるなってる」
カズキ「なってるなってるじゃねぇよ…。どんだけ負けたんだこれ」
ユウキ「だいたい20戦で1200pt近くスられたな」
カズキ「うげぇ!?」
サツキ「それはそれは…。ハデに負けましたねぇ…」
●『玉の間』(全201戦 4214343322241341411131243143212313343422234222211122331413233113123244224142342411242312231131☆412411211224143442242131342113414211142344112 3122424211432321222124241212411 2333223221441414223344144332242)
トップ:54回 27% (29%)
2着 :61回 30% (30%)
3着 :39回 19% (18%)
4着 :47回 23% (22%)
平均順位 2.39 (2.34)
( )内は170戦時点
カズキ「全体として見ればまだ一応『見れる』、か?」
サツキ「いや〜。平均順位2.4がすぐそこだよ…」
マユナ「トップがホントに取れてないね」
ユウキ「直近31戦の戦績をまとめると…」
●直近31戦の戦績(全31戦 2333223221441414223344144332242)
トップ:4回 13%
2着 :10回 32%
3着 :8回 26%
4着 :9回 29%
平均順位 2.71
マユナ「うわぁ…」
サツキ「悲惨」
カズキ「これはひどい」
マユナ「いよいよ引退か…」
ユウキ「引退は考えてないが…。夏ミカン、これを受けて、なんと2週間ほど雀魂を離れてしまったんだよ」
カズキ「逃げやがった…」
ユウキ「リアルがクソしんどいのもあったらしいが…。とにかく今はいくら打っても勝てる気がしないと思ったようで」
サツキ「夏ミカンの場合は人よりもメンタル的敗因が大きそうだし、一旦忘れるのはありでしょうね」
カズキ「ちなみに…。これだけ負けてる原因は分析したりしてんのか?」
ユウキ「そんな余裕もないんだよなぁ…。簡単に成績を見てみれば放銃が増えてるのは間違い無いんだけど、それ以上に成績に直結してるのは『アガリ率』だな」
マユナ「そうなの?」
ユウキ「↓の画像を見てくれ」
カズキ「……うおっ…」
サツキ「こ、これは…。『速』が0!?」
マユナ「0なんて初めて見たんだけど…」
ユウキ「今までも どんな不調でも10はあったんだがな…。もうホントに『配牌悪い』、『リーチ成功率激減』、『早期決着の増加』でアガリ方忘れるレベルだ」
サツキ「一応それぞれの定義は↓です」
マユナ「直近100局で1回もアガってないってことではないんだよね…?」
ユウキ「さすがにそれはないと思う…。どういう計算なのかは知らないけど」
ユウキ「そんな地獄の只中でも取れるトップもある。↓に挙げる芸術的な」
カズキ「やれやれ。夏ミカンのメンタル修繕のために付き合ってやるか」
ユウキ「リーチを受けている」
サツキ「形だけ見ればドラ切りですけど、は4枚見えてるし、確実に通るわけでもない…」
ユウキ「無難に現物切り」
サツキ「はい」
ユウキ「2軒リーチがかかっている状態で上家から」
カズキ「鳴けばケイテンとれるけどは対面に通ってないぞ…?」
ユウキ「ケイテン取った」
カズキ「おお…」
ユウキ「の危険度はそれなりにあるとはいえ、ワンプッシュぐらいは可能なレベル。その上ハイテイをトップ目に送り込める上に、今打たれたを合わせてくれれば…」
ユウキ「こちらのアガリだ」
マユナ「小癪な…」
ユウキ「頭脳プレイだ!」
ユウキ「そしてオーラス」
マユナ「トップまではマンツモでは届かず」
サツキ「ハネマン条件か…」
ユウキ「リーチがかかる」
マユナ「うう…」
サツキ「でもこれはチャンスでもある…」
ユウキ「すぐさまこちらもテンパイでリーチ」
カズキ「今のままでは出アガリマンガン止まり…」
ユウキ「『一発』と…」
ユウキ「裏1!」
ユウキ「まさに芸術」
サツキ「偶然です」
カズキ「ただの偶然」
マユナ「ラッキーだったね」
ユウキ「………はい」
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STORY 5-⑤ by Yuki
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「私は、『組織』を潰す。そのために、あなたの力を借ります」
「おいおい。俺の力ってなんだよ。俺はただのイチ学生だぞ。そんなでかい規模の組織を潰すのに使える力なんて持ってない。っつーかだいたい、そんな犯罪組織なんか警察にでもチクっちまえば良いんじゃないのか」
「こんな犯罪組織が堂々と残っている時点で察しがつくでしょう。『組織』はNPOと銘打ってはいますが、実際のところは行政の、主に防衛省や文科省のお抱え組織です」
「国が認めてるってことかよ…。防衛省ってことはなにか?対外戦力として『才能』を育てようってことかよ」
「そんなところです。さすがに国を相手取るわけにはいきませんよ。警察にチクれば牢に入れられるのはこちらの方でしょうね」
スケール感がおかしくなりそうだ。何度も言うが俺は一般人だぞ。
「じゃあ、どうするつもりだ」
「1chanceのマスターさんは、元は世界を股に掛ける仕事をしていたそうですね」
「それが?」
「マスターさんの組織は何か知ってますか?」
「………、ああ。名前こそ伏せられたけどな。武器商だ。『元』な」
マスターのことも筒抜けか…。
「そうですか。まあご本人が伏せている以上私も言いませんが、その通り。あの方はこの国最大手の重工の元メンバー。いや、国から直々に輸出先を指示されて売り込む、もはやエージェントとさえ言える存在でした」
「あの人は『夢だった喫茶店を開くために仕事を辞めた』と言ってたけど、たぶん違う。喫茶店は夢だったかもしれないが、仕事を辞めたのはあの人が自分で選ぶ営業先がぶっ飛びすぎるせいで会社の手に負えなくなってクビになったんだろ。エリア51に単身で侵入して代表者に謁見したことがあるって、冗談交じりに言ってたこともある」
「…………い、いや、さすがにそれは冗談でしょう」
「そのマスターがどうした?」
「『組織』は巨大ですが、あくまで日本の組織です。『日本には非人道的な犯罪組織があり、行政がそれを支援している』という圧力を世界中からかければ、『上』が証拠隠滅のために『組織』を潰す。これが私の戦略です」
「その世界からの圧力を、マスターを通じて操作してほしいってことか?」
「私が調べただけでも、あの方は世界中の要所で関係を築いている。その要所に、『組織』のことをリークしてもらえればそれでいい。マスターさんに気に入られているあなたが頼めば…」
戦略という割には最初から最後まで他力本願のような気がするが…。
「どうかな。あの人は今はただの小さな喫茶店のマスターだ。世界を飛び回っていたころのスーパーエリートはもうどこにもいない。それに、そんな国を敵に回すような真似をしてくれる保証もない」
「なるほど。それで?」
「それでって?」
「やってくれるのか、くれないのか」
「決まってる。土下座してでもリークしてもらう」
「ふっ。そう言ってくれると思いました。あなたにとっても、神崎姉弟は失いたくない存在」
「知った風な口をきくなよ。俺は俺の救いたいものを救う。お前の言いなりになるわけじゃない」
「わかってますよ」
「チッ」
どうやらこいつの筋書き通りに動いているようだな、俺は。
「交渉は了解を得た、ということで良いですね」
「まあ。ただ、本当にうまくいくのかこの作戦」
「それについては機を見る必要があるかと。個人的にはもう少し『組織』の犯罪の証拠を押さえてから実行したいところです」
「時間稼ぎは大丈夫なのか」
「『別の案件も担当しながらやっているから遅くなる』とでも言えばどうにでもなるかと。私も私で室長には気に入られていますから」
「そうかよ。じゃあひとまずは俺は待機ってことで良いのか?」
「はい。その時が来たらお知らせします」
「分かったよ」
「では今日のところは。そろそろサツキたちと合流しないと心配するでしょうし。ここのお金は払いますよ」
「いや。一応俺のが先輩なんだ。俺が出す」
「ふふっ。でしたらお言葉に甘えますよ」
俺と『アヤカ』は店を出て、『アヤカ』はサツキやイオリ君がいる俺の家に向かっていった。
俺は今バイト中ってことになっててまだ帰ると言ってある時間じゃないので、その辺で時間つぶしをしながら、この件について考え事をすることにした………。
次
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雀魂牌譜検討 とりあえずマンガンを目指す
エリア「ねーねーカズキ」
カズキ「うん?」
エリア「お兄ちゃんって呼ばれたらうれしい?」
カズキ「!???!!?」
ユウキ「いきなりどうしたエリア…」
エリア「ユウキはうれしい?」
ユウキ「まあエリアみたいな可愛い子に言われりゃなー」
カズキ「なぜいきなりそんなことを…」
エリア「日本文化を学ぼうと思ってアニメを色々見てたら…」
ユウキ「もっと別のアプローチがお前には必要だ」
常にチートイと共に
ユウキ「さて何切る」
カズキ「何切るってこれ…」
ユウキ「切り」
カズキ「?」
エリア「なんで残すのー?」
ユウキ「チートイだな」
カズキ「ここから…。ホントに好きだなチートイ」
ユウキ「この巡目でやや中張牌の切れ具合が大きい。こういう時は山読みがしやすくなりやすいと考えての選択のようだ」
カズキ「どうせのこの手はドラを重ねないと大した手にならない。だから重なった時に一番嬉しくなるような手組みにしておきたいってのもありそうか」
ユウキ「夏ミカンは結構、こういうふうに河の状態を見ていきなりチートイを始めることあるんだよな」
エリア「もはや中毒!」
ユウキ「首尾よくテンパる」
カズキ「リーチは…」
ユウキ「せず。注目を集めている親の現バリということで」
カズキ「こざかしいな」
エリア「カンが入ってるし、裏ドラ見たいところだけどなー」
ユウキ「ツモるんならリーチしてた」
カズキ「まあ結果は上々」
クリミスから始まるマンガン
ユウキ「ここから」
ユウキ「」
カズキ「何してん!?」
ユウキ「夏ミカン自身、何故こんなことになってしまったのか全くわからないとのこと」
カズキ「なんでやねん!」
エリア「病気だね!」
ユウキ「そしてさらに」
ユウキ「壊れ始める」
エリア「うーん。これが現代社会の闇…」
カズキ「マジでやべーぞこれ」
ユウキ「リアルが大変でかなりまいってるのは事実なようだが、これはひどい」
ユウキ「なんかテンパる」
カズキ「なんでなんだよ!!!」
エリア「どれだけまいってても好きなチートイなら頑張れるんだねー」
ユウキ「そういうことだな」
カズキ「どういうことなの…」
ユウキ「リーチ。先攻リーチにも通りそうなところでのオリ打ちを狙う」
カズキ「ダマで回しつつメンホンを待つ戦法もありそうだけど…」
エリア「まあ、すでに打点は十分だし、それなりに信頼できる待ちならこのままゴーでも良いかな!」
ユウキ「勝利」
カズキ「うーん。こざかしい」
ドラが2枚あればそれはもうマンガン
ユウキ「こっからを」
ユウキ「鳴いていく」
カズキ「形は結構悪いけどな…」
エリア「ドラにくっつけば3900からマンガンまで伸びるから、夏ミカン的には音速ポンだろうね!」
ユウキ「下家のも当然鳴いて…」
ユウキ「マンガンの1シャンテン」
カズキ「この形を胸を張って『マンガンの1シャンテン』と言える打ち手はそうはいないだろうなぁ」
エリア「たまに信じられないくらいポジティブになるよねー」
マンガンにならない鳴きを拒否
ユウキ「ここからをスルー」
カズキ「鳴けばかなり広くなるのに」
エリア「トップ目なんだし、鳴けば良いのに?」
ユウキ「この鳴くと、マンガンにならないテンパイとるハメになることがあるから嫌だったらしい」
カズキ「嫌とか言われても」
エリア「まあ門前でハネマン狙える1シャンテンだしね!」
ユウキ「このは『マンガンだから』チー」
エリア「逆にシンプルな麻雀なのかもー」
カズキ「ガンコなだけのようにも見えるけどな」
デカトップでのピンフのみは…
ユウキ「ピンフのみでテンパイ。ドラでアガれば2000点」
カズキ「この点差ならダマで局消化するのが無難では?」
ユウキ「夏ミカンもそう考えてダマにしたが、リーチもアリではなかったかと」
カズキ「そうすか?」
ユウキ「ここで1000点アガっても、オーラスの親で6000オール一発でまくられることも、ないことはないからな」
エリア「確かにリーチしてプラスαでアガれれば、かなり安全圏には立てるけど…」
ユウキ「それに加えて今回は下家の親が飛びスン。こちらがリーチをかけても高確率では切ってきそう」
カズキ「リーチしていれば下家を飛ばしてゲームセット、か」
エリア「でも親とめくり合いになるのはあんまりだよね」
ユウキ「まあ、ダマが無難なんだろうけどな」
エリア「ボク、お姉ちゃんしかいないからよく分かんないよー」
ユウキ「お前のねーちゃん、めちゃくちゃエリアを可愛がってたって聞いたことがあるからなぁ。『お姉ちゃん』って呼ばれるだけでも喜んでたんだろうなぁ」
カズキ「俺のバカ姉には言わんでくれな?多分即死する」
エリア「わかったよお兄ちゃん!」
カズキ「!?!?!?!?」ドキドキ
ユウキ「エリア。お前自分がハゲ散らかすほどのゴールド美少女であることをもうちょっと自覚しろ」
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STORY 5-④ by Yuki
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「私は、『神様候補』であり、『組織』のトップである室長の直属の工作員。『神様候補』は私を含めて2人いますが、もう1人を右腕とするなら私は左腕でしょうかね」
「あえてそう言うってことは…、もう1人の『神様候補』の方が優秀だということか?」
「……。まあ、そんなところです」
一瞬、表情に影が見えたような気がした。
「それについては今は関係ありません。重要なのは、私が室長に大きな恩を感じているということ」
「恩?」
「そしてもう一つ。私は『組織』のために、これ以上仕事したくないということ」
「何?」
したくないってなんだ。今だって俺みたいな一般人相手にとんでも理論と俺の周りの人間への干渉を暴露してるとこだろ。
「もともと私がこの仕事をしていたのは、室長に恩返しをするため。仕事とは、各地にいる『才能』を『組織』に集めることです。もちろん、こんな薄気味悪い『組織』に満面の笑みで来てくれる子なんてほとんどいない。そんな時は、金を握らせます。教育環境を整え、将来を約束すると言えば、たいていの家庭は応じてくれます」
「………。まあ、教育費を払わずに教育をしてくれるうえに金をもらえるなら、悪くはない話か」
「それでも了承してくれない場合は脅す。拉致。崩壊。なんでもします」
「なんだと…」
予想以上に腐ってる。
「ただし、『組織』に来てくれた子には相当な待遇が待っています。軽い軟禁状態には置かれるものの、たいていのモノは買い与えられるし、教育環境はその辺の有名進学校をはるかに超える充実ぶり。『才能』同士の触れ合いも大いに認められ、互いに互いを高めあう図式が成り立っています」
「……」
「ここまでが、私に知らされていた情報。そしてここからは、私に知らされていなかった情報」
また、嫌な予感がするな。
「私が集めた『才能』が、何人も廃人になっていた」
「どういうことだよ」
「『組織』は、『才能』同士の高めあいだけでは足らず、『才能』個人に強制的な刺激を与え、『才能』を成長させようとしたんです。尋問、催眠、拷問、薬漬け。私が把握している分でもこれくらいのことは息を吐くかのように実行している」
「…………、完全な犯罪組織じゃねぇか…」
「それを知ったのは最近です。今、『組織』が私に与えている案件に取り掛かっている最中」
「今の案件って、今お前が『組織』に連れて行こうとしている『才能』があるってことか」
「そう。それがサツキ」
!!
「テメェ…」
「あなたなら分かるでしょう?あなたの周りにいる人間のこと。『才能』のある人間って、性格に難ありなところはあるけれど、どこかに魅力を感じられる。私が導いた子達もみんな魅力的だった。でも、今はもうその子達は私と話をすることもできない。『美奈子』とはもう呼んでくれない。『晶さん』とはもう呼んでくれない。『佐那ちゃん』とはもう呼んでくれない。『伊万里お姉ちゃん』とはもう2度と呼んでくれない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…………」
「この上サツキまで失うわけにはいかないんですよ」
「……。なら今すぐにでも仕事を断って『組織』から抜ければ良いんじゃないのか。それとも恩があって無理とか言うつもりか?」
「こんな非道をするヤツに、もう恩も何もないですよ。私が『組織』を抜けない理由は、サツキを守るためです」
……なるほど。
「お前の管轄に置いて、『組織』へ運ばれるまでは安全が保障されてるってことか」
「『組織』に運ばれないようにするため、時間稼ぎはしています。サツキの周りには、他にも『才能』を持った人間がいる。だからもう少し様子を見させろ。という感じで」
「サツキの周りの『才能』。カズキやマユのことか」
「あなたもですよ、ユウキさん」
へえ。
「最初はね、サツキの代わりに誰でも良いから『組織』に送ってしまえば良いと思ってたんです。サツキさえ対象外になってしまえば、それで私は『組織』を抜ける。抜けた後『組織』が非道を続けようが知ったことじゃない。サツキさえ守れればそれで良いんです」
「それだと、カズキやマユや俺が危険にさらされることになるわけだな」
「それで良いと思ってたんです。最初はカズキ君。サツキの代わりに、同じ血を引く彼を送れば『組織』も納得してくれると思った。でも、やっぱりだめで。サツキと話すうちに、サツキがどれほどカズキ君を大事に思ってるのかを感じてしまったんです。サツキのことを考えたら、カズキ君を失わせるわけにはいかない」
「……、分かるよ」
なんだかんだ言っても、サツキはカズキのことをこの世で1番信頼している。
「だから今度はあなたたち九条兄妹を送ろうと思いましたが、それもダメ。サツキとカズキ君にとって、あなたたちは家族のように大きな存在となってしまった」
「なるほど。で?じゃあどうするつもりだ?サツキの代案が無くなってしまった以上、もうサツキを連れていくしかないんじゃないのか?時間稼ぎにも限界があるだろうし」
「させません。させないに決まってる」
「具体的な考えはあるのか?」
「あなたに協力してもらいます」
「俺に?」
また何か言い出したぞ…。
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雀魂牌譜検討 打点を追うのもメンタル必要なんだよ
マスター「好きな食いもんは何よ」
ユウキ「いきなりですね」
マスター「デザート以外の新メニューも考えようと思ってな」
マユナ「クラムチャウダーとかかなぁ」
ユウキ「鯖の味噌煮」
マスター「ユウキ。一応俺の店、喫茶店なんだが」
マユナ「あ、あれも好きです。天ぷら。キスの」
ユウキ「じゃあ…、ミネストローネとか」
マスター「アレだな。お前ら兄妹は心底掴み所がないな」
高打点への浮牌は心中レベルで①
マスター「この手から」
マスター「を切るという選択肢は夏ミカンにはない」
ユウキ「くっつけばメンホンですからね」
マユナ「多分終盤くらいにならないと絶対切らないだろうなぁ」
マスター「一通が付けばバイマンまであるしな」
高打点への浮牌は心中レベルで②
マスター「さて何切る」
ユウキ「ピンフ1シャンテンではありますね」
マスター「最終形を字牌待ちにしたいがために、ここでは打」
ユウキ「でもを切るのはまだ先ですね」
マスター「そうな。ドラを引けばを切ってピンフに向かう」
マユナ「引き、引きでも打が良いかもですね」
ユウキ「これも終盤あたりまで引っ張りそうだな」
形と打点の線引き
マスター「何切る」
ユウキ「単純な牌効率なら打ですが…」
マスター「ドラなので切らず」
マユナ「愚形テンパイ確定しちゃいましたが…」
ユウキ「どうだろうなこれは…。を使えればリーチしてマンガンとはいえ、使えなくても5200なんだから十分な気もする。裏ドラもあると考えると」
マユナ「とにかくカンが待ちとして厳しすぎるもんね。正攻法で切りで良かったかも?」
ユウキ「あとは…、巡目がそこそこ早いから打とかもあるっちゃあるか?」
マスター「1シャンテンキープしつつのくっつきを待つ、か。仮に引いちまっても落としていく手順が踏める」
マユナ「アリだったかもですね」
マスター「ハイすぐ引く」
マユナ「すぐ引くなぁ」
マスター「その後、リーチを受けている中でテンパイ」
マユナ「結果的には最高打点に仕上がってる…」
マスター「当然テンパイは取るが、さすがに待ちが悪すぎるためダマ」
ユウキ「好形変化狙いですね」
マスター「待望の変化で…」
マスター「やり返す」
マスター「ハイテイプラス裏裏という運命力」
ユウキ「このグダグダ感からのホームランが夏ミカンだよなぁ」
マユナ「一度テンパイ逃したヘタクソのくせに」
疲れた…①
マスター「ここから」
マスター「ドラを切ってしまう」
マユナ「え!?」
ユウキ「なんでだ…。いつもなら引いてきて6000オールにしてやるくらいの意気込みで残すはずなのに」
マスター「なんかな、疲れたんだと」
ユウキ「はい?」
マスター「ここまで打点を追うために何切るかとか浮き牌をどこまで残すかとか、結構頭使ってやってたから、ここで一回サボりたかったと」
マユナ「なんだその理由!」
ユウキ「頭使って疲れたとか麻雀打ちが言って良いフレーズじゃねぇ…」
マスター「夏ミカンは打点を追うのが大好きなんだが、そのために浮き牌をいつまで残すかは思った以上に周りに神経使いながら吟味してるからな。単純な押し引きよりも負担がデカイまである」
マユナ「はあ…」
ユウキ「もうちょっと頑張れよ」
マスター「結果的には変わらなかったから良かったが」
マユナ「むう…」
疲れた…②
マスター「リーチがかかっている。何切るか」
ユウキ「自分の手は、形は良い2シャンテン…」
マユナ「リーチ者はダンラスかぁ。自分はトップ…」
マスター「まずこのを押す」
マユナ「2シャンテンで、一発で?」
ユウキ「ここで現物のを抜いたらこの手はほぼ死ぬとはいえ、なかなかハイリスクな選択だぞ…」
マスター「仮にここでハネマン打ってもまだ取り戻す余裕があるという判断でもある」
ユウキ「言うなぁ…。疲れたとか言ってたくせに」
マユナ「点数状況的には、確かに放銃しても上家との一騎打ちなのはあまり変わらないかもね」
マスター「1シャンテン」
マユナ「おー…」
ユウキ「は中スジですね」
マスター「切ったのは」
マユナ「えー。ふつう切って好形テンパイ確定させない?」
ユウキ「はふつうに危なそうだし」
マスター「これに関しては、なぜ切りが良いと思ったのか、よく分からんらしい」
マユナ「なんだそれは!」
ユウキ「もうボロボロじゃねぇか…」
マスター「もしかしたら待ちケアの意味合いがあるのかもな」
マユナ「メンタンピンへの放銃は避けたかったというのは分からんでもないけど…」
マスター「この形でテンパイ」
マユナ「切ってりゃこの1巡前にテンパイじゃん」
ユウキ「言ってもしゃーないが」
マスター「押してダマ」
マユナ「押すのは分かるけど、ダマ?」
ユウキ「別に現バリでもないのにな」
マスター「今後色々と手牌変化させてより安全なケイテンルートを進めるように、というのがひとつ」
ユウキ「まあトップ目でこの巡目なら分からんでもないか?」
マスター「あとは、上家がふつうに押してきてる。ダマならアタリ牌を切ってくるんじゃないかという淡い期待もあったようだ」
マユナ「むしろ、だからこそリーチっていう選択肢もありそうだけどなぁ」
マスター「結果は目論見通りの2着直撃」
ユウキ「まあ良しか」
マスター「クラムチャウダー、ミネストローネ…。スープ系の他にもないか?」
マユナ「すき焼き」
ユウキ「トンカツ」
マユナ「にしんそば」
ユウキ「牛丼」
マスター「よし、その辺でやめようか。そろそろ帰りたくなってきた」
ユウキ「とはいえマスターが作ったものなんか、どうせ全部美味いし」
マユナ「マスターさんが作る牛丼…、逆に食べてみたいです」
マスター「………。しょうがねぇなあ。ちょっと待ってろ」
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STORY 5-③ by Yuki
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『才能』を集め、ある個人にそれを集約し、『神様』を作り出す。
なんだそれはバカかこいつ。そもそも…。
「矛盾してるだろ。その『組織』はあくまで『科学技術の振興を図る活動』ということでNPO法に認められてるはずだ。それなのに『神様』だと?」
「オカルトですね」
「そうだよ!そんなもんを作るなんて言った日にゃNPO法の対象外になる。そうなれば組織としては成立しなくなる!」
「どうでもいいんです」
「はあ!?」
「どうでもいいんですよそんなこと。さっきも言った通り『表向き』には『才能』の謎を解明することが『組織』の活動なんですから。それで外からの目は凌げます。それにね、ユウキさん。そもそも科学の到達点って、なんだと思います?」
「到達点?」
スケールがおかしい。さっきから。
「『すべての事象の解明』。地球はなぜ回る?虹はなぜかかる?人間はなぜ生きる?種族はなぜ分かれる?宇宙はなぜ広がる?そういう無限に生まれる『なぜ』を解明することが、科学者の悲願でしょう」
「だからなんだよ」
「でも、そんなもの、人間ごときが知れるわけがない。こんなちんけな生命体に、世界の真理なんてものが理解できるわけがない。そう。『神様』でもなければね」
「…だから、『神様』を作ってそいつに聞こう、ってことかよ」
「その通り」
「バカか?もし『神様』を目指したとしたって、それはあくまで『才能』がある『人間』だろう。『人間』なんだよ。『神様』じゃない。お前の言う通り、世界の真理が理解できる存在になれるとは思えん」
「もちろんその通り。『才能』を集めたところで本物の『神様』になんかなれるわけがない。現時点ではね」
「現時点では?」
こいつは本気で。
この理論に勝算があるとでも言うつもりなのか。
「いいですか?そもそもこの一連の思考は『カオス理論』によったものです。『カオス理論』とは、言い換えれば、『自然現象はすべて完璧には予測できない』というものです」
「おいおい…」
「科学の進歩はすさまじい。そのスピードはまさに予測できません。江戸時代の農耕民族たちに、『21世紀は田植えから収穫まで機械作業でできるようになっています』と言えば、一人残らず腰を抜かして驚くはずです。それくらい、科学の進歩はすさまじい。予測できない」
「本気で言ってんのか…?」
「ならばこそ、人間だってそうです。私は『神様』にはなれないかもしれない。なる前に死ぬかもしれない。でも私は多くの『才能』を発現する可能性がある。そしたら私の産む子にはいくつかの『才能』が受け継がれるはずです。その周りの者たちも同様。そうして世代をいくつも超えて、成長し続ければ、いつか誰かが『天の意志』まで到達するかもしれない」
「………」
「なぜなら、『自然現象はすべて予測できない』のだから。『神様』になれる人間はいるという仮定を否定する材料など、現時点では何も無いはずですよ」
…………………………。
もはや。
言葉を発する気すら起きないほどバカげた話。
それでも、事実として。
今もなお、各地に点在する『才能』は、『組織』に集結されている。
『神様』などというくだらない妄想のために。
「と、ここまでが『組織』のご意向。私にとっては虫けらのような茶番」
「………!?」
「次は、私。『アヤカ』についての話をしましょうか」
次
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雀魂牌譜検討 鳴きが上手い≠鳴きが多い
アヤカ「チッ」
カイト「顔を見た途端舌打ちですか」
アヤカ「なんでアンタと組まなきゃなのよ」
カイト「まあまあ、さすがに俺たち2人だけってわけではないでしょ、今回は誰が…………」
エリア「………………」
アヤカ「………………」
カイト「………マジか」
エリア「? 良いんだよ?いつも通りバチバチで!」
アヤカ「………この子の前でくらいは…」
カイト「大人になりますか……」
クイタン大前提と四風連打
カイト「ドラ2枚ですが、あんまり形は良くないですね」
エリア「クイタンが大前提になりそうだね!」
カイト「ということでトイツ落としから入る」
アヤカ「とりあえずじゃないんだね〜」
エリア「正直とりあえずでも良かった気がするけどー」
カイト「一応 四風連打の警戒しつつ、って感じですかね」
ドラの役牌バック
カイト「役牌のドラトイツで下家のを…」
カイト「ポン」
アヤカ「まあ、ドラトイツだから大事にしたくてスルーしたいかもだけど、基本ポンだね〜」
カイト「ドラが鳴けないままリーチを受け、バックでテンパった」
エリア「押すー?」
カイト「押してぶち当たり、と」
アヤカ「とは言っても、ここは押すかベタオリかの2択しかないし、マンガンテンパイなら押すべきなんじゃ〜?」
エリア「ただ、相手のリーチはかなりソーズ待ちが濃くなってるねー。アガリが望めなさそうな手であることを考えるとちょっと乱暴な選択だったかもー?」
鳴きパーツ以外いらない
カイト「いつものように厳しいラス目ですね」
エリア「親番でなんとか立て直したい…」
カイト「切り。クイタンと役牌の可能性を1%も減らさない構え」
アヤカ「今回は鳴きが撤退してるな〜」
エリア「残して引いた形がかなり強いけど、それでもこの選択かー」
カイト「裏目という意味では引きよりも、引きの方が精神衛生上良くないからだろうと」
アヤカ「精神衛生上…」
カイト「やや進んだところで勘弁してほしいリーチ」
エリア「を鳴ければポンテン…」
カイト「一発でプッシュ」
エリア「アガリにかけるならこれしかないね!」
カイト「が出る前に上家から。チーして打」
アヤカ「これで安全にクイタンに向かえるわけか〜」
カイト「獲る」
エリア「粘り勝ち!」
特に早ったわけではないんだが…
カイト「続く2本場。下家から」
カイト「ポンしてバックのテンパイを取る」
エリア「ふつーに見えるけど?」
アヤカ「でもいつもの夏ミカンならこの巡目だったらもう少し門前リーチまで粘ってたようにも…」
カイト「後が無い親番ということで鳴くべきだと思ったようで」
エリア「これがじゃなくて、三元牌や場風ならモチモチ警戒でスルーしたい心理も強くなるだろうけど、自風なら割と鳴きやすいと思うなー」
カイト「まあ普通に考えてここは鳴いて良いですね」
カイト「見事モチモチでそのまま潰されるわけですが」
アヤカ「まあこれは運が悪かったということで〜」
カイト(……さて、帰るか)
エリア「あれー。もう帰るー?」
カイト「ん、んー、まあ」
エリア「これ!マスターの新作のモンブラン!食べようよ!」
カイト「………」
アヤカ「………座りなよ」
カイト「やれやれ。俺たちの中で1番強いのってエリアさんなんじゃないのか」
アヤカ「今回ばかりは気が合うね…」
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STORY 5-② by Yuki
前
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マスターには飯を食えと言われたが、ファミレスでして良い話ではないということで、俺と『アヤカ』はパーティルームの個室を借りた。
防音性の高い部屋。声は外に漏れなさそうだ。
「初めに言っておきます。私はNPOの特殊工作員です」
「NPO?工作員?」
何言ってんだこいつ。
「私たちが『組織』と呼んでいる法人…」
「あー待て待て。………。まあいいや。突飛な話だけど今はとりあえず受け入れとくか…。で、その工作員が俺や神崎姉弟に接触した理由は?」
「その前に、『組織』についての説明をして良いですか?」
「ああ」
どうやらこちらから聞き出す手間は必要ないらしい。
「NPOが法人となるためには、その活動が、対象となるいくつかの活動分野の中に該当する必要があります。国際協力活動であったり、経済活性化であったり」
「ふーん?」
「『組織』はその中の『科学技術の振興を図る活動』をして、法人格を得ています」
「科学技術…。研究対象は『人間の才能』か?」
「察しが良いですね。その通り。人間の持つ『才能』が、どこから生まれ、どうやって残るのか。それを解明することを『表向きの』目標としています」
いきなり、何を言い出すかと思えば…。
「『才能』なんて、科学的に定義することすら危ういと思うけどな。つーかそれなら遺伝って話で終わるんじゃないのか?『才能』はDNAで受け継がれる。これでハイ終わり」
「そう思いますか?」
「?」
「この世にあるすべての『才能』が、遺伝によって生まれると、本気でそう思ってますか?」
「…………」
「医者の子供だからと言って、目を見ただけで感情を読めますか?成功者の血を引いただけで、小学4年生のうちから自らを律し続けることができると思いますか?優秀な両親から生まれたからといって、他の人間を見下し続けていた人間が、誰からも好かれるような人格を作れると?」
「……」
やはり俺の周囲の人々のことは筒抜けのようだ。
「『才能』は遺伝だけでは説明がつかない。これが『組織』の見解です」
「じゃあ……、『才能』はどうやって生まれるんだよ。『組織』はどう考えてる?」
「『バタフライ効果』はご存じで?」
「たしか、『カオス理論』とかいったっけ?アイザック=ニュートンの提案した説は、マクロな現象はすべて一定の法則で支配されているということ。すべてはニュートン力学に従い、自然現象の挙動はすべて完全に予測できる、って感じだよな」
「そう。それに対して『カオス理論』は、すべての自然現象は様々な要因が絡み合うことで、予測した挙動を示さなくなる、という理論。つまり『ある日北京で1匹の蝶が羽ばたくことで、その羽ばたきによって生まれた気流が翌日にニューヨークで「起きるはずの無かった」嵐を起こす』ことがありえるということ。これが『バタフライ効果』」
「それが?」
「DNAによって予測された『才能』が、子には宿らないことがある。それに対して、全く別の『才能』が宿るか、さらに優れた『才能』が宿ることがある。こちらは予測できない」
「…………」
何を言い出すつもりだこいつは。
「予測できない『才能』は、DNAではなく、何か別の外因によってもたらされるのではないか、ということです」
「『才能』は、外的要因で生まれると?」
「そうです」
「…………。いや、それって。なんつーか。当たり前じゃね?」
「…………」
真剣な顔で言うもんだから拍子抜けをしてしまうところだ。
「社会の中で生きていく人間が、他人と出会って、いろんな経験を経て成長していく。その中で卓越した能力が生まれる。これって普通のことだろ」
「確かに一般論では簡単に説明できます。ただ、本当に『普通』だと思いますか?」
「え?」
「その辺にいる有象無象共と生活したところで卓越した能力なんて生まれると思いますか?カズキ君の『索眼観測(アイスキャン)』はクリニックにマユナちゃんが運び込まれた時から彼自身が意識して目を見るようになって生まれた『才能』です。サツキの『絶対永続(パーマネンスエフォート)』は、元々父方の血から得た『天才』の弟のカズキ君を超えるために発現した『才能』。マユナちゃんの『魅了天使(セレスティアルチャーム)』も、『天才』のカズキ君の接触によってより精錬された」
「つまり…」
「他人の『才能』が『才能』を生む、ということです。DNAによる予測とは別に、他人の『才能』というイレギュラーが予測不能の『才能』を生む」
………………………!!!!!!!!
「おい。嫌な予感がしてきたぞ」
「カンが良い。結論を言いましょう。『組織』の最終目標。それは、『才能』を1か所に集めて最高の『才能』を生むこと。人知など優に超えた、本物の『才能』を」
「まさかそれが……」
「そう。『神様』です。私と、もう一人。集められた『才能』によって卓越した能力を与えられる予定の者。『神様候補』というわけですね」
次
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『金の間』の時より『玉の間』の今の方が勝ってる
ユウキ「不定期の報告ー」
マユナ「せめて定期的にするか、何戦ごととかにするつもりはないんだね?ないんだろうね」
サツキ「ないだろうなぁ」
カズキ「その日の気分だもんなぁ」
●『玉の間』(全170戦 4214343322241341411131243143212313343422234222211122331413233113123244224142342411242312231131☆4124112112241434422421313 42113414211142344112 3122424211432321222124241212411)
トップ:50回 29% (29%)
2着 :51回 30% (27%)
3着 :31回 18% (20%)
4着 :38回 22% (23%)
平均順位 2.34 (2.37)
( )内は139戦時点
マユナ「ん…。まあ、割と勝ってるみたいだね」
サツキ「30戦前よりも平均順位がかなり上がったなぁ」
カズキ「ラスもそこそこ引くけど、トップと2着がかなり固まって取れてる感じか」
マユナ「………」
サツキ「………」
カズキ「………」
ユウキ「なんだどうした」
マユナ「いやぁ。なんか…」
サツキ「うん…」
カズキ「そうなんだよなぁ…」
ユウキ「なんだよ」
マユナサツキカズキ「「「絶対もっと苦戦すると思ってたから」」」
ユウキ「お前らこういう時ばっか声揃えるよな」
マユナ「だって『金の間』ではもっと苦戦してたでしょ。降段すらしてたはずだよ?」
サツキ「それが『玉の間』で…、平均順位2.34? 何ですかこの勝ち組みたいな数字」
カズキ「『金の間』ではずっと2.4台とか、ひどい時は2.5台もあったはず…」
マユナ「なんでだろ。長い確変引いてるのかな」
サツキ「もしくは『金の間』よりも『玉の間』の全体的な麻雀傾向が夏ミカン向きなのかも」
カズキ「運営に賄賂でも送ってんじゃねぇのか」
ユウキ「なぜ誰も夏ミカンが強くなったという可能性に触れない?」
マユナサツキカズキ「「「ええ!!??」」」
ユウキ「声を揃えるな!!」
カズキ「それに関しては1ミクロンも考慮してなかったもので…」
ユウキ「さすがに不憫になってきた…」
サツキ「まあ…、多少はそういうこともあったりするんでしょうけど」
マユナ「実際、『金の間』の時ってどんな成績だったっけ?」
ユウキ「↓に『雀豪』なりたての時と現在の成績載せるぞ」
『雀豪』なりたて
現在
カズキ「なんか思い出してきたな…。確かにあの頃って3着が多かったんだよな」
サツキ「今は3着はかなり減ってトップと2着が優位…。これは明らかな『変化』だね」
マユナ「原因はなんなんだろ?」
ユウキ「データをそれぞれ並べてみると…」
対戦数 255 → 425
和了率 22.32% → 22.37% UP
ツモ率 31.61% → 33.40% UP!!
放銃率 11.61% → 11.47% DOWN
副露率 33.37% → 33.21% DOWN
立直率 19.15% → 19.24% UP
平均和了 5648 → 5831 UP!!
和了巡数 12.25 → 12.34 DOWN
サツキ「放銃率は下がってますね。和了率も多少は良くなってるけど大きな差ではなさそう」
カズキ「比較的大きな変化というと…」
マユナ「ツモ率がかなり上がってるね」
ユウキ「おそらくはそれに伴って平均和了点も上がってるな」
サツキ「そして副露率と和了巡数が下がって立直率が上がってる」
カズキ「総合するとこういうことになるか」
『鳴きが減ってリーチが増え、ツモアガリによる打点アップが目立つ』
カズキ「要はリーチツモアガリが増えたってことになりそうだな」
ユウキ「確かに最近の夏ミカンは役牌のみ1000点とかは少ない。2シャンテン以上から仕掛けることなんて、逃したくない親番以外ではほとんど見ないかもしれん」
マユナ「多分だけど、『金の間』で日和ってかけられなかった愚形リーチも増えたんじゃないかな?」
サツキ「『玉の間』は『金の間』に比べてリーチに対してしっかりオリてくる機会も増えるから、ツモアガリも増えたのかもね」
カズキ「相手がオリるから放銃率も下がる…」
マユナ「今後も『リーチを増やす』のがキーになるかもね」
ユウキ「ただ、最近は『玉の間』の強プレイヤーの成績とかもチラチラと見てるんだけど。総合成績でトップ率30%越えラス率20%未満の人のとか」
サツキ「はあ」
ユウキ「そういう人って、和了率25%前後だったり放銃率11%未満とかだったり、明らかに夏ミカンよりも『上』なんだよな」
マユナ「和了率25%とか、夏ミカンからしたら神のレベルじゃん」
カズキ「さすがにそれを目指そうとして麻雀を改造しようとするのは危険なんじゃ…」
ユウキ「夏ミカン自身もそう思ってるから、とりあえず今は『リーチを増やす意識をしてみる』くらいに留めておこうと思ってる」
サツキ「それで成績がさらに改善されたら、その時に和了率25%を検討してみれば良いかもですね」
雀魂牌譜検討 煮え切らない微妙な選択が増えてきた
アヤカ「マユナちゃんって、ユウキさんのことなんて呼んでんだっけ?」
マユナ「な、なんですか急に」
マスター「……そういやあんま聞かねぇな」
アヤカ「カズキくんは『ねーちゃん』だけど、マユナちゃんは?」
マユナ「…………お兄」
マスター「ん?」
マユナ「お兄、ですけど……」
アヤカ「………う〜む」
マスター「普段聞かないあたりがブラコン度を増すなぁ」
マユナ「ブ!?そんなにじゃないです!!」
被リーチは終戦じゃない
マスター「先攻リーチがかかってる中でテンパイ」
アヤカ「テンパイっちゃテンパイだけど〜」
マスター「好形リーチでの反撃を狙って打」
アヤカ「さすがにですね〜。大事をとっての打とするとマンズ3メンチャンを逃すし」
マユナ「引いてのフリテンリーチは…、嬉々としてしそうだなぁ」
マスター「結局放銃だが」
マユナ「一発じゃないだけマシですか」
遊び手を利用する
マスター「自分の手。このまま門前で仕上げることもできそうだが…」
マスター「上家がどうやら国士。もう1枚くらいソーズを鳴けるだろうと、一気にチンイツへ向かう」
マユナ「対面もソーズいらなそうだし、場況に合わせての攻めですね」
アヤカ「ほ〜」
マスター「このは少し鳴くか迷ったな」
アヤカ「鳴けば単騎テンパイを一応は取れるけど、その後の変化が乏しいなぁ〜」
マスター「鳴いたが…。どうだったかな」
マユナ「テンパイと1シャンテンは天地の差と言いますし、まあ、鳴いた方が無難な気もしますね」
マスター「流局してしまった」
アヤカ「惜しい〜」
ペンチャン落としてタンヤオつくなら大体落とす
マスター「一応1シャンテン」
マユナ「愚形だらけのリーチドラ1…」
マスター「拒否のシャンテン落とし」
アヤカ「ほ〜ん」
マユナ「多分この方が良いですよね。巡目もそれなりに早いし」
マスター「ソーズの伸びもまだ見たいし、鳴くこともできるしな」
『2着で良い』から鳴けない
マスター「ラス前で下家のをスルー」
アヤカ「ん〜?」
マユナ「トップ目だし、局消化を考えれば鳴いても良いんじゃ?」
マスター「鳴かなかった理由はひとつ。が鳴けるか不安だったからだな」
マユナ「それはそうだけど、さすがにポンテン取れるようにしとく方が良いのでは…」
マスター「最近のブームが『2着で良い』だからな…。ここでが鳴けないままリーチを受けて、最悪でオリ打ちしてマンガン放銃となるとラスまで見えてくるって考えたみたいだ」
アヤカ「ないことはないけど〜…」
マユナ「どんだけネガティブなの…」
マスター「さて何切るか」
アヤカ「普通なら打点を見て打だろうけど〜」
マユナ「今は状況的に打点だけを追う展開じゃないかも…」
マスター「。ポンに備えつつ、を引けばピンフドラ1だ」
マユナ「は鳴くんだね。さすがに」
アヤカ「その上でダマピンフでの局消化も考えて…か〜」
マスター「ちなみにここで鳴くつもりなのはだけのようだ。チーの愚形残りのクイタンやバックはやはりリスクがあると考えてるな」
マユナ「究極の『2着で良い』麻雀だなぁ」
アヤカ「でもホントに聞かないなぁ〜。『お兄』」
マスター「誰の前なら使うんだ?」
マユナ「良いじゃないですか別に…」
アヤカ「このブログの検索で『お兄』って打てば出るかも…」
マユナ「ちょっとおお!?」
マスター「これが検索世代…」
マユナ「意味不明な納得はいらないですけど!?」
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雀魂牌譜検討 ケイテンとクイタンの血みどろの2着
サツキ「マ、マユちゃああああああ!!」
マユナ「ぬおおおお!!久々に組んだらやっぱりこれかあぁぁあ!!」
カイト「」ギロ
サツキ「ああああぁぁぁぁ…ぁ………。うえぇ……」
マユナ「大人しくなった…。なにか『見せた』の?」
カイト「ユウキさんにもマユナさんを守ってくれって言われたんで…」
マユナ「ナイトみたいだねぇ。極道なのに」
サツキ「マユちゃんが突然ハゲ親父に見えた…」
マユナ「なにしてんだテメェ!!」
カイト「これくらいすれば絶対安全だと思って!」
染め手は上家の様相を見て
サツキ「テンパイ」
カイト「リーのみでこの巡目なら…」
サツキ「メンチンまで見越してのテンパイ外しだね」
マユナ「ドラも何もないしねぇ」
サツキ「今回の場合、上家がかなりソーズいらなそうだから余計にチンイツ狙いが良いだろうね」
サツキ「上々」
マユナ「うん」
5巡目リーチ受けてのケイテン
サツキ「そしてオーラス」
カイト「早いな」
マユナ「うわぁ…。ラス目でゴミクソ配牌…」
サツキ「上家から」
カイト「はあ」
サツキ「鳴く」
マユナ「また理解に苦しむことを…」
カイト「おそらくは役牌の先々付けですかね」
サツキ「どうせ役牌が重ならないとアガリが期待できない手だったから、鳴けるとこは鳴いとこうってことだね」
カイト「あとは上家に差し込みまで面倒見てもらえそうってのもあるか」
サツキ「絶望の親リー」
カイト「ツモアガリか対面の放銃を期待するしかないか…」
サツキ「役なしテンパイ」
カイト「なんの意味もない…」
マユナ「現物切って撤収だね」
サツキ「切りとした」
カイト「んん?」
マユナ「通りそうといえば通りそうだけど、わざわざ現物を切らない理由は?」
サツキ「あわよくばのクイタンアガリに期待してるのと、ケイテンをかなり考えてるね」
マユナ「この巡目から回りきれると思ってるの?」
カイト「厳しめだなぁ」
サツキ「ここで例えば自分と親の2人テンパイで流局すれば2着になる。これが大きいと考えたね」
カイト「ここから何巡もかけて手を回してテンパイを取ることを考えたら、端牌トイツを抱えて手の形を固定するのは良くないと考えたのか…」
マユナ「クイタンを残しつつ、より多種類の数牌を手牌全体で使えるようにしたってことだね」
サツキ「切れないマンズを引く」
マユナ「も当然切れない…」
サツキ「ここに来てようやくを1枚外す」
カイト「引いてほぼクイタンの目は無くなった…。まだまだ流局まで遠い。大丈夫か?」
サツキ「マンズは切れない。ソーズも切れない」
マユナ「切れるのは…」
サツキ「ノーチャンス。その後はも切れる」
カイト「諦めてないな」
サツキ「粘りに粘って…」
サツキ「ここでやっとがノーチャンスで切れる」
カイト「テンパイ流局が見えてきたな…」
サツキ「しかしここで最低最悪の牌」
カイト「生牌のドラ…」
マユナ「切る手もあるのかもだけど…」
サツキ「さすがに無理と、ほぼ諦めの選択…」
マユナ「むう…」
サツキ「しかしもう1枚引いて…」
サツキ「2枚見えならばと勝負」
カイト「うおお…」
マユナ「まだ粘れてる…」
サツキ「そして…」
サツキ「やり切った」
カイト「よくがんばりましたってか」
マユナ「これで2着ね」
サツキ「次局、親が安手でアガって連荘」
カイト「あらー」
オーラス リーチ打ちたくないんだけどなぁ…
サツキ「オーラス継続中。2本場なので2000点アガれば2着決着」
カイト「手が入ったか」
マユナ「これは…、切ってクイタン見るか、切ってピンフのままにするかだね」
カイト「スピード勝負ならクイタンを狙いたいところだけど…」
サツキ「その場合、門前でテンパイしたらリーチ打つことになりそうだよね。は役なしになるから」
カイト「この状況であんまりリーチしたくはないわな」
サツキ「まあ、とは言ってもチーが偉すぎるということでクイタン狙いに」
マユナ「引きを考えたら打の方が良かっただろうね」
サツキ「打たれ…」
サツキ「ポン」
カイト「わりとペン待ちや単騎待ちになりそうとはいえ、全速力ですね」
マユナ「単騎ローリングは大好きだからなぁ」
サツキ「チーしてテンパイ取り…」
サツキ「決着」
マユナ「オーラスならではの最終形…」
カイト「血と汗で掴んだ2着だ」
サツキ「こういう、トップが取れない半荘で2着を確保できたのはなかなか大きいね」
マユナ「粘り強く打たなきゃダメだね。今後も」
マユナ「あんたの『レパートリー』おかしいでしょ」
サツキ「もっとおどろおどろしいのばっかりだと思ってた」
カイト「嫌悪感を与えるって意味では効果はバツグンなんですけどねぇ…」
サツキ「次はマユちゃんに天使の羽をつける幻覚が見たいです」
マユナ「そんなの『レパートリー』にあるわけ…」
カイト「猫耳ならあります」
サツキ「カイトくんさすがすぎる!!!」
マユナ「なんなんだテメェマジでええええええええ!!!」
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雀魂牌譜検討 ケイテン取りたい時のブレーキのかからなさは異常
喫茶『1 chance』にて
マスター「悪いなぁお前ら。休みの日なのにわざわざ出てきてもらって」
アヤカ「新作ケーキできたって連絡来たら来るしかないです〜」
ユウキ「味見してくれって言ったって、どうせ美味いに決まってますし」
マスター「まあ、エリアも美味いって言ってたしな。でもホントはこういうのでも出勤扱いでバイト代は出さなきゃならんのだがな…」
アヤカ「ケーキただ食いさせてもらってますからね〜」
ユウキ「元々この店には遊び感覚で働きに来てますし、その延長みたいな」
マスター「それはそれで非常に問題発言なんだが…」
待ちを固定するのが嫌という感性
ユウキ「親マンテンパイ」
アヤカ「はい」
ユウキ「打」
アヤカ「はあ。そりゃそうでしょ〜」
ユウキ「夏ミカン的にはめちゃくちゃ打と行きたかったようだ」
マスター「ソーズの伸びを見たかったってことだな」
アヤカ「親マンテンパイでぬるすぎでは〜?」
マスター「まあ確かにカンに固定した結果アガリを逃すこともあることはあるだろうな」
ユウキ「待ちの良し悪しで言えばめちゃくちゃ悪いわけだし、切っちまってるから嬉しい手替わりも引きしかない」
アヤカ「切ってを残せばチーで好形テンパイ。マンズを鳴ければ3メンチャン…」
ユウキ「ギリギリこの巡目ならそれも許されるかと思ったってことらしい」
マスター「例えば上家がソーズを切ってきそうな河だったり、全体的にソーズが安かったりすればその選択肢も有力だろうな」
アヤカ「今回はそういうわけでもなかったから素直にテンパイとったのか〜」
ユウキ「数巡後、リーチがかかって4枚目のを引く」
マスター「カンするかどうかか」
アヤカ「すでに打点は十分だから、そういう意味では必要ないですよね〜」
ユウキ「まあそれでも危険牌を切るよりはカンかなぁと」
マスター「は3枚見えだけど宣言牌だしなぁ」
アヤカ「こうなってくると好形テンパイを取っておきたかったっていう気持ちになるのはわかるなぁ〜」
苦労した分ブレーキはかからない
ユウキ「さらに数巡後、直前で上家がチーしてくれたおかげでハイテイで手番が回ってきてしまう」
アヤカ「どうするのこれ〜」
マスター「カンが入った状態でハイテイで振り込めば無事では済まんだろうな」
ユウキ「押した、が、これは最悪の失敗だろうな」
アヤカ「とはどっちも絶望的に危険な牌…。押さない方が良いよね〜」
ユウキ「オリる場合は打になるか…。リーチ者には中スジ、上家はを鳴いてないし」
マスター「押すにしても自分の目からよりもの方が多く見えてるんだから、切った方が気休め程度にはマシだろう」
ユウキ「尋常じゃなくデカイ」
アヤカ「まあこれは自業自得〜」
場況厨の呪い
ユウキ「この手、メンツ手かチートイかの選択」
アヤカ「が役牌だし、メンツ手で良いのでは〜?」
ユウキ「チートイにした」
アヤカ「なんで〜」
マスター「マンズの場況が良かったからだろうな」
アヤカ「確かに満遍なく切られてる…」
ユウキ「ペンを固定してしまうよりは場況に対応して待ちを変えられるチートイの方が良さげと判断したらしいが…」
マスター「ポンの1000点に魅力がないのは分かるが、チートイに行くにしても一旦は打だろうよ」
アヤカ「チートイの受けを残しつつ、メンツ手としての受けも残りますもんね〜」
ユウキ「これに関してはマジでただのヘタだな」
マスター「まあ、遊び感覚で来てる割にはお前ら2人とも仕事できるから良いが」
ユウキ「だいたい、俺たちが遊び感覚で働くのだって、マスターが業務中に麻雀やらゲームやらの話をやたらしてくるからですけどね」
アヤカ「この前なんか私のガチャを一緒に引きまくってめちゃくちゃはしゃいでましたしね〜」
マスター「あれは白熱したな」
ユウキ「あんたがそうやって焚き付けるからコイツの課金が止まらないんでしょ!」
マスター「いや、しょうがないだろ」
アヤカ「しょうがないです」
ユウキ「何がぁ!?」
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トップラスが増えてる時はストレスが大きい証拠
ユウキ「うーい。定例の報告会だ」
マユナ「これ、やる意味あるの?」
カズキ「無駄に会議だけ重ねて無駄を増やす会社みたいになってね?」
サツキ「これが社畜の感性か…」
ユウキ「毒が過ぎる…」
●『玉の間』(全139戦 4214343322241341411131243143212313343422234222211122331413233113123244224142342411242312231131☆4124112112241434422421313 42113414211142344112)
トップ:41回 29% (28%)
2着 :38回 27% (29%)
3着 :28回 20% (21%)
4着 :32回 23% (21%)
平均順位 2.37 (2.38)
( )内は119戦時点
ユウキ「夏ミカンも結構最近は仕事でまいってるようなんだよ」
カズキ「そのストレスが成績にも出てるか…。トップだけじゃなく、ラスも増えてきてる」
マユナ「よくない傾向だなぁ…。ラスに厳しい雀魂で」
前回
直近
ユウキ「20戦打って100ポイント程度しか増えてない」
カズキ「これがラスの怖さか…」
マユナ「厳しいねぇ」
サツキ「もっといえば、☆2になって47戦して200ポイントしか増えてないよ」
ユウキ「前回引いたプチ地獄モードが効いてるな…」
カズキ「大体50戦で200ポイント増える計算だとしたら…」
マユナ「☆3まであと350戦は必要だね」
サツキ「☆2になった時の目標が、ザックリ200戦以内で☆3到達だから……」
マユナ「オワタ」
ユウキ「オワてない!」
ユウキ「大逆転劇が起こった」
サツキ「はあ」
ユウキ「大逆転劇が起こったんだよ」
マユナ「はいはい。さっさと始めて」
ユウキ「ぐぬぬ…」
ユウキ「南2局で死にかけのラス回避合戦」
マユナ「弱いなぁいつもながら」
ユウキ「一応振り込みは0なんだがな…」
ユウキ「手の伸びはかなり良かった」
サツキ「下家は回線落ちですか」
ユウキ「直前に対面が2連続一発ツモしたから嫌になって帰ったんじゃないか?」
サツキ「そうですか…」
カズキ「夏ミカン的には嬉しい誤算だけどな」
ユウキ「切りとした」
カズキ「あん?」
サツキ「これ…、のポンテン取れなくなってますけど」
ユウキ「夏ミカンな、こんな状態でもまだトップ狙ってるんだよ」
マユナ「ええ!?」
サツキ「普通ラス回避第一では…」
ユウキ「今は普通じゃないからなぁ」
カズキ「回線切れ…か」
ユウキ「ポンの1000点は考えてなく、さすがにが入ればリーチ。そんでもしを引くようなら…」
ユウキ「ホンイツへ渡る」
マユナ「おお…」
ユウキ「反撃のノロシだ」
カズキ「ラスチーからの高めツモ…」
ユウキ「次局も手が入る」
ユウキ「マンズの染めとドラ引きを見て打とし…」
ユウキ「この直撃で2着浮上」
マユナ「むう…」
サツキ「1人参加してない上に着落ちの可能性が著しく低いからこその大振りということですね」
ユウキ「オーラス。4000オール一発でトップ」
カズキ「配牌も悪くないな」
ユウキ「上家も2着フィニッシュのためにスピード全開」
マユナ「熱い展開になってきた」
ユウキ「テンパイ」
カズキ「ダマでも11600。ツモれば文句なしな上に対面から出ればサヨナラ」
サツキ「ダマで良いのでは?」
ユウキ「リーチした」
マユナ「なんで?」
ユウキ「対面が上家にアシストしてるような感じだったから、それを止めようとしたらしいな」
サツキ「……確かに中張牌がバラバラと切られてますね」
カズキ「リーチしなければ上家に差し込まれると思ったわけか…」
ユウキ「親リー 一発目に対面、打」
カズキ「んん!?」
ユウキ「アシストなんかじゃなかった。普通に相手も早いテンパイが入った」
カズキ「上家もテンパイ…。三つ巴だ…」
サツキ「勝つのは…」
ユウキ「…ということだ」
サツキ「回線落ちが いたからこそのトップですね」
マユナ「まあ夏ミカン的には、こういうアクシデントも含めて『ネット麻雀』なわけだから、回線落ちの有無で戦術を変えるのは当たり前なんだろうけど」
ユウキ「そういうことだ」
カズキ「やれやれ。回線落ちがいなかったらふつーにラスってたんじゃないか?」
マユナ「ありうるなぁ」
ユウキ「それはほら、言ってもしょうがないから」
サツキ「真理ですけどね」
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親友②
「返して!返してよぅ!」
「?」
ふと前を見ると、道端でランドセルを背負った男の子3人が、何か揉めているようだった。2人が1人のランドセルを無理矢理奪おうとしているように見える。
(なんだ?いじめか?小学生ならまだ可愛いもんだろうが…)
カズキという男は、あのおっせかいを絵に描いたような姉の背中を見て育ったために、自身もなかなかにおせっかいに育った。
自然と、その足は小学生の方に向きかけ、
その瞬間。
パン!!
横を歩いていたカイトが唐突に両手を叩いて大きな音を響かせた。
小学生たちはその音に気づいて、カイトの方を見る。
直後だった。
いじめていた側の2人の男の子が、足から崩れてその場に座り込んだ。
息を荒げ、下を向き、ガクガク震え、大量の冷や汗を流している。
ランドセルを取られそうになっていたもう1人は、何が起こったか分からないような顔で戸惑っている。
(こ、これは…)
目の前の『異常』。
これを『やった』人間が誰か。カズキはすぐに気づく。
「おい…、なんか『見せた』のか?」
「まあ、ちょっとな…」
しれっとした顔で答える犯人。カイトには、普通の人間が持たないような特技がある。
「カタギの…、それもあんな小さい子供に向かって…」
「いじめを止めたいと思ったのは本心だぞ?」
事実だろう。
極道とはいえ、小さい子供たちが争っている様子に嫌悪を感じない人間などいない。
しかし。
(やり方が、『極道』そのものだ…)
いじめは止まった。
とりあえずこの場は、いじめられていた側の1人は難を逃れて家へ帰れるかもしれない。
だがそれで良いのか。
「……………」
いじめられていた1人は涙目で座り込んだ2人に声をかけていた。身を案じているのだ。いじめられていたのは事実だとしても、普段は一緒に遊ぶ仲なのかもしれない。
カズキはまっすぐ3人のもとに駆け寄った。
(………まあ、そうだろうな)
カイトはカズキに付いていくことはしなかった。
自分がこういう問題を言葉で解決できない人間だということを、『極道』カイトは嫌と言うほど思い知っている。
そして、そういう力を持っている男こそが、親友のカズキなのだ。
小学生たちに駆け寄ったカズキはまず冷や汗ダラダラの2人の状態を確認した。
医者の息子でそこそこの知識はある。
見かけほど大したことはない事が分かり、落ち着かせ、その後3人が何をしていたのかを聞き出しているようだ。
(やれやれ、ただの通りすがりが…)
苦笑いしてやや離れた位置からカイトは見ていた。
カズキのおせっかいはよく知っている。
そしてカズキの考え方も。
いじめを止めるだけでは足りない。
悪いことをした2人はこれに懲りていじめをしなくなるかもしれない。
でもそれではダメなのだ。それでも足りないのだ。
『いじめをしてはいけない理由』が、『いじめたら今回のようなひどい目に遭うから』ではいけない。『いじめられた人が嫌な気持ちになるから』だということを分かってもらわなければいけない。
それができなければカズキにとっては『負け』なのだ。
ただ通りすがっただけだったとしても。
見てしまったのならば放置できない。
放置しない以上は『負ける』わけにはいかない。
この世で最もおせっかいな姉の背中を見て育った、この男のプライドなのだ。
15分ほどして、小学生たちは帰っていった。
2人の子が1人に謝っていたようだ。これでもう、同じようなことは起こらないと願いたい。
「…………」
カズキは思った。
今回のこの事件。
まさに自分が抱く、カイトへの不安の具現だと。
カイトは間違いなくいじめを『止めた』。
おそらくはどんな人間よりも迅速に、そして確実にそれを遂行した。
だけどカイトにその先は無い。アフターケアのようなものなどカケラもないのだ。
そして何より不安なのが、その手段。
『いじめを止める』という『善』を行う手段がまるっきり『悪』なのだ。
もしかしたら。
カイトの『夢』を叶える過程でも、このような目に見えない暴力が振るわれるのではないか。
対して、カイトは思った。
自分の『夢』を叶えるために必要なのは、カズキのような人間なのではないかと。
力ではなく言葉で人の心を動かす。そんな能力が必要なのではと。
(やれやれ、俺の『夢』に無理矢理付き合わせるつもりはないんだが…)
「フッフフ…」
不適な笑みが浮かびだす。
自分の中の『極道』が出てくる。力で何者をも従わせる、『親友』としてのカズキには絶対振るわないと誓ったそれが。
「カイト!」
「!」
『極道』に入りかけていた思考が戻される。
その表情に、悪意のこもった笑みは無い。
「悪いな。待たせた」
「………いや」
『こんなこと』をしでかした自分に、カズキは何も言わない。
それは優しさなのか、甘さなのか、勇気なのか、怠惰なのか。
少なくとも何かしらの感情を自分に向かって持っているはずだが、何も言わない。
「帰ろう」
「ああ」
いつもの道を歩く。
この道はいつまで続くのだろう。
もしかしたら次の瞬間には、『極道』が『親友』を喰らい尽くすかもしれない。
カイトの『夢』は自分が『極道』だからこそ叶えたいものなのだ。その道に『親友』を巻き込みたくはない。
巻き込むとすればカズキが自ら『極道』に入ってくるか、もしくはさっきのように『力』を使って無理矢理『極道』に引き摺り込むかだ。
もちろんそんなことは望んでない。カイトは『親友』としてのカズキが好きなのだ。
それでももしかしたらこの先、『親友』としてではなく、ただ単にその『能力』としてカズキが欲しくなった場合、自分の中の『極道』を抑えることができるのだろうか。
「………」
不安を覚えながら、いつもの道を歩く。
友としてこの男の隣で歩くことに居心地の良さを覚えながら。